On COVID-19 Vaccine

皆さんの周りでもそろそろワクチン接種された方が増えているのではないでしょうか?私の周りはアメリカの医療機関で働く友人達、そしてニューヨーク州では高齢者にもワクチンの順番が回ってきたようです。州によりますが、大体の優先順位は医療関係者>介護施設関係者>高齢者>非医療・非介護系のエッセンシャルワーカー(食料品店、デイケアなど)>学校関係者及び児童・学生>一般という感じでしょうか。ロードアイランド州の大学で働く私の順番はまだまだかかりそうですね。


ところで、私の周りでも「ワクチン、もちろん受けるけど不安がないって言ったらウソだよね。。」とか「mRNAワクチンって、インフルのワクチンと何が違うの?」「副作用が怖い」「そもそも基本的にワクチンしたくない派」など飛び交っていて、やはり理系の私としてはしっかり信頼できる情報源を確認しておきたいので、色々調べた事をここにまとめておこうかと思います。


結論:ワクチンによるメリット(有効率を考慮して免疫耐性がつくのは確実、いずれは集団免疫をゲット)はデメリット(副作用)を大幅に上回る。現在アメリカで許可が下りているのはファイザー・BioNTech製(完全自社研究費)とModerna製(アメリカ政府出資)、それ以外のワクチンはFDAからの許可を待つべき。


今回参考にさせてもらった情報源:

Vaccine Types (English) 

mRNAワクチンの仕組み(日本語)

mRNAワクチンの仕組み2(日本語)

COVID-19 ワクチンに関する提言(一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会 )


1)mRNAワクチンって何?

一口にワクチンと言っても色々なタイプがありますが大きく分けて二つ。

a) 弱毒化ワクチン(生ワクチン):ウイルスをヒト細胞以外の細胞を使って培養し、ヒト細胞への効力を薄めたワクチン。メリットは抗体による免疫(=液性免疫)と感染した細胞による免疫(=細胞免疫)の両方に効果がある事、非常に強力な為ほとんどの場合は免疫機関が一生続く。デメリットは培養期間に時間がかかるので開発期間・コストが高い事と弱毒化されたウイルスを入れるので免疫系疾患がある人は受けられない場合がある。水疱瘡、おたふく風邪など赤ちゃんの時にするワクチンのほとんどはこのタイプ。


b)不活性化ワクチン:熱や化学処理などを施して、免疫を作るのに必要な部分だけ抽出したワクチン。メリットは生ワクチンほど副作用が少なく、開発・流通コストが比較的低い事。デメリットは抗体による液性免疫しか得られない(私達の細胞には変化なし)ので、免疫耐性が生ワクチンに比べて低く、免疫持続期間が短い。インフルエンザワクチンはこのタイプです。


c)核酸ワクチン:mRNAワクチンは上のどちらとも違う新しいタイプのワクチンで「核酸ワクチン」と呼ばれるものです。コロナウイルスに使われるのは初めてですが、技術そのものは新しいものではなく、HIVワクチンやがんワクチンの臨床試験は以前から進められています。ヒト投与に実用化されるのは今回が初めてです。このワクチンではウイルスの遺伝子物質(DNAやmRNA)を体内に入れ、ヒト細胞の中でウイルスのタンパク質(厳密にはコロナウイルスの外側にあるスパイクたんぱく質)を作りだし、出来たスパイクたんぱく質に反応して抗体反応を引き起こし、免疫をつけるものです。ワクチンで送り込んだmRNAはしばらく経つと身体の中で分解されるので、ワクチンに配合されるウイルスの遺伝子物質が身体に残る事はありません。


メリットは抗体による液性免疫と、細胞免疫の両方を実際のウイルスを介する事なく得られる事です。デメリットは感染予防が可能なレベルの免疫がどの程度維持出来るのか不明な事、そして副作用です。


2)mRNAワクチンの効果

じゃあ実際どの程度の効果が出るのか。英語だとefficacy =臨床実験での有効率、effectiveness =実社会での有効率、と微妙にニュアンスが違ってくるのですが、現在多くの国で承認されているファイザーとモデルナ製はどちらも臨床実験では95%以上の有効率を発表しています。ちなみに有効率95%以上というのは、ワクチンを100人に接種したら5人しか感染しなかった、という結果ではなく、ワクチン接種したグループvs非接種グループを比べた時、接種グループの発症率が非接種グループより95%低かった、という意味です。


この有効率、ワクチン開発が始まった頃の目標は最低30%以上、理想は50%以上でした。インフルエンザワクチンの有効率は(2015・16年シーズン、65歳未満)52.9%だと考えると、臨床実験段階とはいえ90%は素晴らしい有効率です。


3) mRNAワクチンの副作用

まず、すべてのワクチンにおいて副作用は必ず出ます。なので副作用の有無ではなく、その程度がどのぐらいなのか、どのような人が強い副反応を起こしやすいのかというデータが重要になってきます。現在報告されている副作用は

・ワクチン接種そのものによる疼痛(ズキズキ感)があった:70-80%

   >インフルの疼痛報告は10-20%なので結構痛いと思われる

・疼痛が日常生活に支障をきたすほどだった:1回目30%、2回目15%(ファイザー)

・発熱:1回目は少人数、2回目は10-17%、特に若年層

・倦怠感、頭痛、寒気、嘔気・嘔吐、筋肉痛

   >非接種グループにも多く報告されている症状なので軽度コロナ症状である可能性大

・重篤な副作用:0.6%(ファイザー)、1%(モデルナ)


ただファイザーとモデルナの臨床実験はほとんどが白人を対象にされているので、アジア人とは疼痛の程度の認識などは違うかもしれません。また75歳以上の超高齢者の臨床データも比較的少ないため(ファイザー0.4%、モデルナ0.5%)、安全の確認が必要です。


実際に私の周りでワクチンを受けた人の感想は

・インフルより痛かった

・腕が重く感じる、腕の痛みなどが1日以上続いた

・2回目の接種後、だるくなった

・インフルと特に変わらない気がする


といった感想でした。なので、もしも接種する事になったら、可能であれば仕事帰りや半休を取る、週末前に接種するなどして、少しだるくなる可能性も考えて計画しておくと良いかもしれません。


4) 変異種に対する効果

英国変異種に関してはモデルナファイザーも効果があると検証されていますが、南アフリカ変異種に関してはまだ統計的な結果が出ていません。けれどもmRNAワクチンの魅力のひとつとして、変異種のmRNAさえわかれば残りの開発はスムーズに行く事が分かっているので、ワクチンのブースター投入は比較的スピーディーに行われる可能性が高そうです。


5)すでにコロナに罹患し、回復した場合

CDCはコロナにすでにかかり、免疫があると思われる人にもワクチンの接種を勧めています。理由は、コロナウイルスに対する自己免役の持続性がまだ解明されていない事、変異種への対応などがあげられます。また感染した事による自己免疫はどの程度効果的なのかもわかっていないので、念には念をという感じ。


この記事書いてて、私もとっても勉強になりました。何か質問あったら出来る限り調べるのでコメントで教えてください!






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