Book series #15

久しぶりの読書記録。

最近はスクリーン時間が長いなと自分でも感じるので、意識して本を読むようにしていて、前回書いたCirceの後も何冊か読んでいるのですが、毎回は読書記録書けてない笑


今回の本はこちら。デビュー小説です。今のところは英語とフランス語で読めます。

主人公マルゴは、重役政治家と愛人である(今は人気のピークを過ぎた)舞台女優アヌークのと間に出来た隠し子。物心ついた頃から、父親は週末にしか姿を現さない存在。母親は世間体にはシングルを貫いています。つまりマルゴとアヌークは、有名政治家の秘密の家族。この秘密は同居人の夫婦と、マルゴの親友一人しか知らない事実。


たまにしか会えないからこそ、良い面しがちな父親、彼の本当に愛している家族は自分と母親だと信じて疑わないマルゴ、美しいけれど母性愛が薄くて17歳のマルゴの扱いにてこずるアヌーク。3人の慎ましくも穏やかで幸せな生活は、マルゴがアヌークの舞台で出会ったジャーナリストによって、変化していく…。


という話。


普段の読書記録ならネタバレしちゃう所ですが、わりと新書なのと、物語の進め方が美味しい本でもあるので今回はそれを控えて気味でいきます。が、ネタバレしてたらごめんね笑


そもそもこの本読もうと思った理由なのですが、たまったま、インスタでフォローしてる読書アカウントがこの本をレビューしていて、マルゴという友人が実際にいる事、あらすじに惹かれたのと、作者の名前に反応したからなんです。サナエさん。そう!彼女は日本人とフランス人のハーフ。気になったのでそのレビューで紹介されていた作家インタビューのポッドキャストを聞いてみたんです。パリ近郊とオーストラリアを行ったり来たりして育ったそうで、大学と大学院はアメリカ(院はコロンビア!ここでもなんか接点感じるw)、現在はNYCに在住。


さらに面白いのが、作家本人が「ダブルファミリーの娘」だという事!彼女のお父さんが実は他にも家族がいた事が分かり、両親は離婚。大人になってから彼女は自分にうんと年下の異母兄弟がいた事が発覚します。詳しくはインタビューでは話してなかったけれど、どうもそちらのファミリーとも交流があるみたい。この本は自分のお母さんとお父さんにささげられているので、どちらとも良好?な関係を築いているみたいです。すごい。


もちろん、物語自体はフィクションですし、彼女の人生ではないと言っていましたが、それでも当事者ならではの感覚とかが飾らない、率直なマルゴの視点から描かれていて、このリアルさはサナエさんにしか出せなかっただろうなと思わせます。


そしてこのマルゴのキャラクターが素晴らしい!自分が17歳の時のことをまざまざと思い出させるリアルさが凄くて、時々読み進めれなかったほどww 私が17歳の時の事を考えると、怖い物知らずだったけど、それは勇気からというよりは無知から来ていた気がするし、自分らしさとかをつかみ始めた頃だったけれど、まだモノには出来ていなくて些細な事で自信を無くしたり。大人の事情みたいなのが分かるぐらいには大人だけど、それを飲み込めるほど大人ではなくて。マルゴは年の割には大人っぽいという設定で描かれていますが、それでも繊細さ、感受性の鋭さ、それゆえに他人の顔色伺ってしまう感じが、共感も出来るんだけど歯がゆくってキーーーってなっちゃうような笑


そしてマルゴと関わってくる女性たちの描写も色々なタイプがいるのですが、それぞれが丁寧に描かれていてとってもリアル。一時の人気のピークは過ぎたけれど年を重ねても美しく、それを自覚している女優のアヌーク。同居人の衣装制作に関わるマチルダ、ジャーナリストの奥さんであるブリジット、唯一の友達ジュリエット、父親の「公のファミリー」での奥さん。特に母親のアヌークと、ブリジットとは深く関わっていくのですが、女として全く違う生き方をしている二人と、これから女になっていくマルゴとの関係性はとても興味深かったです。


その他でよかった部分は、この物語の舞台、パリ!といってもキラキラな部分だけじゃなくて、むしろほとんどのマルゴの物語は人目に付かない、華やかじゃないパリが舞台。でも実在する場所やお店の名前がそこら中に散らばっていて、ちょっとした旅行気分を味わえます♪♪ 


二つ目のおススメポイントは食べ物の描写‼ ジブリじゃないけど、この本にはやたらと美味しそうな食べ物の描写がたっくさん!どれも素朴な食べ物なのですが、とにかくとっても美味しそうなんです!そしたら作者がクッキングマガジンでエディターをしていた事があるとの事。なるほど~~~ 


読み方次第で、軽くも重くも読める本で、ちょっと旅行気分も味わえて、17歳のマルゴのうじうじ具合にイライラしたり、いきなり度胸ある行動にハラハラさせられたり、文章もスッキリした文章で、物語の進み方もテンポ良いし、ヒットでした!サナエさんの次の作品も楽しみです♪


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