Book series #7: カエルの楽園

実はサラバ!とこれの間に永遠の0も読んでるんですがそっちはもう感想が色々ありすぎるので。


これはインスタでフォローしている書店員さんのポストで見かけて興味を持ちました。

文庫化されていたのでゲット。

現代日本を寓話風刺しながら切り込んでいく作品です。


童話・寓話ってあんまり最近目にしない気がするんです。

1つの原因はたぶん、論文というか既に目的が明確な書籍(ハウツー本だったり自己啓発本だったり)が売れまくってるからかなと思うんです。忙しい現代人は、自分で咀嚼し考えるよりも作者の考えている事が分かりやすく、簡潔に書かれている本を好むのでしょうか? 


私はハウツー本とかは書店で斜め読みして満足しちゃう場合がほとんどです笑 

もう答え合わせしちゃった気がするというか。

手元に置いて、何度も読み返したいものって1回では咀嚼出来ないものの方が多いです。

別にそれは小難しい本しか買わないという訳ではなく、シンプルに書かれていても自分の心に響くものがあったりする本は「これを1年後に読みたいな」とか思う訳です。好きな本は何度も読み返す習性があるので笑 


百田直樹さんの「カエルの楽園」は、語り口は童話そのもの。

だけど冒頭のシーンからしてただのほのぼのした童話では無い事が分かります。これは寓話です。

グリム童話とかもそうだけど、長く愛される童話ってただのほのぼの系じゃない事多いですよね。相当ダークな存在を文章の至る所に感じる。うんこういうの好きw


この作品も、ロベルトとソクラテスという同じ種族のカエルだけど正反対な反応を示すキャラクターを通していたる所に皮肉やシンボリズムが隠れています。面白い!そしてそれぞれのキャラクターが示す役割がハッキリしていて、童話の分かりやすさと、寓話の多面性(様々な解釈の可能性)を表現していて上手いなぁと思いました。


この作品では日朝関係、日韓関係、日米関係、さらに戦後のマスメディアのあり方、日本人の自覚の有無など色々な要素が入っています。深読みすればするほどどツボにはまっていくような感覚。日本人の政治への無関心さ、メディアへの煽られやすさは本当に怖いなと。まぁ日本に限った事じゃないんですけどね。答えを検索する事になれきってしまった私達への恐ろしい警告のように感じました。


世に溢れる情報を、自分のフィルターを通して厳選し、それらを咀嚼し、自分の思想の糧にする。


これって本当に難しい。自分のフィルターのスペックをあげるにはたくさんの情報に触れなければならないし、それを咀嚼するには自分の頭で長い事考える必要があるし、その咀嚼された情報のうち、どの程度を自分の思想とするのか。他人の受け売りじゃなく、自分で考え感じた事を言葉にする力。忘れたくないし、これからも磨き続けて行かないといけないなと思いました。


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