Book series #13

ついにロードアイランド州でも、本格的な外出謹慎令が出まして、5人以上の集まりは屋内でも屋外でもダメ(同居人を除く)、運動と食料品・メディカル以外の外出を全面禁止、レストランやカフェも縮小時間+先にオーダーしてピックアップのみというシステムになりました。とはいえ、もともとバレエとジム以外出不精で、大して外食もしないし、バーにも行かないし、という私にとってはあまり変化はないのかな笑 相変わらず、在宅での集中力の低さに対する対応策を試行錯誤しております。


とはいえ、こういう時期は普段あまり時間をさけない読書にピッタリの時間。

今回のBook seriesはポール・オースター(柴田元幸訳)の「ムーン・パレス」です。

晴れている日はすぐ外に出たくなるタイプw 

珍しくミルクいれてみたくなった今シーズン初のアイスコーヒーと。


これは友達の家の本棚にあって、特に考えもせずに、なんのあらすじも知らずに借りてきたのをやーっと読んでみたのですが、結構久しぶりのヒット!60年代のNY、主人公はシカゴ出身のコロンビア大の学生、主人公のガールフレンドになる女の子はダンサー、物語のほとんどはアッパーウェストサイド(私が住んでいたあたり)で展開、もう一つの物語の重要な舞台はグランドキャニオンやモニュメントバレーの砂漠地帯(一昨年、家族旅行した場所)、さらに作中では既に死んでいる人として話題になるパヴェルという前の世話係(私の大学院の友達もパヴェルw)。というものすごいシンクロ率だったのもあるかな?あと、この本を借りた友人が、主人公の姿とチラチラ重なる部分があって、そこでも偶然にしてはものすごいぴったり感が。不思議なもんです。


あらすじをざっくり説明すると、シングルマザーの母親を亡くしてからは本好きな叔父に引き取られた主人公マーコは、コロンビア大学に来る時に叔父さんの唯一の財産である本を大量に譲り受ける。その叔父さんの突然の死をきっかけに、授業もろくに出ず、卒業しても働かずにひたすら叔父さんの本を読み続け、その本を売って生活費を稼ぐという生活を続ける。やがて家賃が払えなくなりすべての本を売り払ってしまうと、ホームレス生活に入る。危ない所で命拾いをし、ようやく仕事を探し始めるが、見つけた仕事は死期間近の老人エフィングの世話係だった。やがてエフィングは、マーコに自分の死亡記事を書くように指導しはじめ、過去を語り始める。。。 といった感じ。


簡単にいってしまえば、この小説はマーコの青春物語であり、エフィングの冒険記であり、それで片付けてしまえるといえば、たしかにそうなんだけど。。細かい描写に60年代のNYの様子が目に浮かんできて、マーコの青年独特の面倒くささと繊細さ、やさぐれ感と、隠しきれない他者への優しさなんかが、とても丁寧に描写されていると思いました。NYで貧乏する20代前半の人間の話なんて掃いて捨てるほどあるけれど、それでも先を進めたくなってしまうキャラクターの憎めなさ、人間的な魅力。そしてガヤガヤした60年代のNYと壮大で未だ手つかずな状態の中西部の砂漠のコントラスト。


そしてやっぱり、聞き慣れた番地や公園の名前がちらほら出てくると、キュンキュンしますやん♪♪(えw)作者のオースターは、自身もコロンビア大の大学院を卒業し、ダンボール箱いっぱいの本を読み漁った少年時代を送ったという主人公にもリンクする一面もある。実体験した人にしか見えない細かすぎる描写とか、正確な距離感(街を散歩している時など)とかがリアルに書かれていて、そこも共感出来たおかげなのかも。


翻訳ものに関して、訳者に注目する事はあーんまりなかったのですが(失礼)、柴田さんはポール・オースター作品はほとんどカバーされていて、他の作品もアメリカのポストモダン文学ものが多く、どうやら著名な翻訳家のよう。ムーンパレスは英語で読んでないのでわからないのですが、私は柴田さんの文章も、いい感じに翻訳っぽさが残っていて好きだなと思いました。オースター作品、英語でももっと読んでみたいなと思いました。


いや~ やっぱり読書は楽しい♪ 皆さんはこの外出自粛期間中、何を読まれていますか?

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